おいしい昆虫生活をはじめるにあたって。
「おいしい」ってなんだろう。
2008年から13年ほど昆虫を食べ続けてきた私はふと思いました。日本にいる多くの人は、昆虫を「おいしい」とは思わない。
けれど「まずい」と知っているわけでもないのです。
これまでに味見した428種の昆虫は、いずれも味が良いものも、そうでないものもさまざまでした。この昆虫にしかない、かけがえのない味わいや香りを持つものもいますが、多くの昆虫が、地味な味、クセの無い味、他の野菜や豆、魚介類と同じように、食べない理由はないな、と思える味でした。
昆虫は捕まえたり養殖するには手間がかかり、買っても高価ですので、まだまだスペシャルな食事です。なので私も毎日の生活はみなさんと同じような、普通の食材を食べています。ある日、「おいしい」とこれまで通っていたレストランやスーパーの食べ物が、悪いニュースで取り上げられた時、口の中から苦々しい気持ちがこみ上げてくることがありました。
これは「おいしくない」と言えるのではないでしょうか。
自分の毎日の生活が、見知らぬ誰かの生活を圧迫しているかもしれない。それを誰かに糾弾されることへの怖さも、もちろんありますが、それより前に、自分が素朴に感じている「おいしい生活」が何も知らないから成り立っているだけなのではないか、という不安は常につきまといます。
何も考えずに、目の前の、おいしく感じるものだけを食べていたい、という願望は不安の裏返しのようにも感じます。
そうすると私が昆虫を食べることや、まわりに声をかけて昆虫食を広げる活動が、回り回って誰かの生活を圧迫していないか。
また逆に、昆虫をまったく食べない生活をしてきた人生の前半は、どうだったのか。
ここでは、昆虫を食べる人、食べない人で分けることをやめます。
昆虫が苦手な人も、好きな人も分けません。
そのためテキストと音声のコンテンツを作っていこうと思います。
それでは「おいしい昆虫生活」スタートします。
2021年10月30日 おいしい昆虫生活 管理人 蟲喰ロトワこと佐伯真二郎
「きく昆虫食」は音声と、文字起こしだけの昆虫食メディアです。